嘔吐の原因は様々ですが、誤食したものが小腸に詰まって生じるケースは早くに発見して、適切に治療してあげれば、完全回復します。
このネコさんはレントゲンの単純撮影ではイレウスの所見が明確ではありません(十二指腸のガスはヒントにはなっています)。
ここでバリウムを飲ませて検査するのが従来のやり方。でも、そもそも吐いているのでバリウムも吐いてしまうし、肺に誤嚥すると一生残ります。ガストログラフィンもオペまで行ったときに少し都合がよくありません。何より、嘔吐と食欲廃絶で弱っている子に無理やり飲ませるのが全く好きではありません。
そこで超音波検査で画像診断してみます。経験を積むと、検査開始から2分以内で診断できます。この子は5秒で見つけ、2分で完全閉塞状態(手術の必要性)を確認しました。
異物による腸閉塞の診断精度は私の場合、
1回目の検査(5分程度)で診断が確定する確率が97.7%
2回目までの検査で診断が確定する確率は100%となっております。
異物と診断して間違ったことは今のところありません^^)
付き合っていく病気でもなければ、治療期間も長くないので、診断したときは手術が必要な状況を残念に思う一方で、急激な回復が約束できるという点で明るい気持ちにはなります。飼い主さんもなんで吐いていたかあっという間に判明し表情が明るくなっていました。